刑事事件
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、これまで多数の刑事事件のご相談を受け、解決してきました。
刑事事件は、迅速性が極めて重要です。初回の面会をすぐに行うことで事件の方針を早い段階で検討することができ、早期釈放やよりよい処分に向けて対策を練ることができます。
ご家族が逮捕された場合、恋人が逮捕された場合等、まずは弁護士にご連絡下さい。当事務所の弁護士が、可能な限り最短で面会に伺います。
また、在宅事件の場合や告訴・被害届が提出される以前の場合等、早期に示談を行うことで刑事事件化を回避できる場合や不起訴処分となる場合等があるため、できる限り早めのご相談をお勧め致します。
当事務所では、これまで執行猶予判決や不起訴処分の獲得などの実績が多数あり、また勾留却下や保釈請求を行い早期釈放を実現した実績も多数あります。
事件全体のご依頼だけではなく、まずは状況を知るべく、初回面会のみのご依頼もお受けしております。
刑事事件に関することでお悩みの場合には、どのようなご相談でもお受けいたしますので、まずはお気軽にお電話ください。
当事務所では、福岡県内のみならず九州全域並びに四国四県、その他全国どこでもご依頼をお受けいたします。まずは、当事務所までお問合せ下さい。
詳細については、下記刑事事件専門サイトをご覧下さい。
初回面会・接見に行ってほしい家族、友人の方へ
刑事事件はスピードが非常に重要です。
逮捕後72時間以内の初動によって、事件の流れが大きく変わることがあります。
通常逮捕後すぐには親族などの面会はできませんが、弁護士であれば、24時間いつでも面会できます。早期に初回面会を行うことで逮捕された方も安心でき、また、弁護士が面会の内容を必要に応じて報告できるため、ご家族の方も状況を把握でき、安心することができます。
弁護士が即日面会に行き、事件の内容を正確に把握することで、10日間の勾留請求に対し、意見を述べ、勾留請求を争い、勾留却下の判断を得るチャンスがあります。
弁護士が即日面会を行うことで、即日示談が成立することもあり、状況によってはその示談内容を踏まえ、勾留の請求が却下になり、その示談成立の結果として不起訴処分になることで、仕事や家族に及ぶ影響を最小限に抑えることができる場合もあります。
また、逮捕された方に対し、不当な自白を防ぎ、捜査機関からの取り調べに対してもどのように対応すべきかアドバイスできるため、安心して取り調べに臨むことができるようになります。
繰り返しますが、弁護士であれば、土日祝日、夜間早朝問わず面会を行うことができます!!
金曜日に逮捕された場合でも、月曜日まで待つ必要はありません。弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、土日祝日関係なく、新規のご相談者様に限り、ご相談のご予約を受け付けております。
弁護士のスケジュールが空いている場合には即日面会を行います。
また、夕方に逮捕された場合も同様です。夕方のうちに面会に行ける場合には即時面会に伺います。困難な場合には翌日早朝に面会に伺うことも可能です。
逮捕されている方は、身体を拘束された上で捜査官による取調べを受け、外部との接触を断たれることから、孤独と不安の中にいるといえます。このような状況で、弁護人との面会を通して、専門家からのアドバイスを受けることで、被疑者にとっては外部交通の橋渡しとなるという重要な役割を果たします。
当事務所では、弁護人としてご依頼されるか否かに関わらず、まずは初回面会のみのご依頼もお受けしており、初回面会に特に力を入れております。
ご家族・ご友人・恋人等が逮捕された場合、まずは当事務所までお電話(092-791-5900)ください。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所が刑事事件で選ばれる理由
- 1.豊富な解決実績・豊富な相談実績
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、年間200件を超える相談実績があり、多数の事件でご依頼を頂き、解決してまいりました。
特に、弁護士坪井は、刑事事件を中心に現在も香川・福岡両オフィスで兼務を行い、四国・九州を問わず、日々刑事事件に携わっております。
また、香川県の刑事事件専門の事務所に所属し、多岐にわたる事件を経験、解決してきた実績を活かして、当事務所開設後も多種多様のご相談、ご依頼を受けている状況です。
特に、性犯罪の解決実績は非常に多くあります。
ご相談者様が少しでも安心できるよう、日々弁護士一同刑事事件の研修や学びを継続しており、現在では、刑事事件に関するご相談、ご依頼が弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所の取り扱い業務の3本柱のひとつとなっております。 - 2.警察官OBがアドバイザーとして在中
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、元県警警察本部刑事部の刑事が刑事事件のアドバイザーとして在中しており、事件捜査をすすめる警察の視点を踏まえ、法律相談を行える体制を整えております。
元警察官であるからこそ、警察官がどのような捜査をするのか、警察官がどういう点を気にしているのか等、実際の実務を踏まえたアドバイスをすることができ、捜査段階での警察官の動きについて予測することができ、初動を早めることができます。 - 3.土日祝日、早朝夜間営業、初回相談料無料、電話相談対応
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、土曜日、日曜日、祝日も営業しており、早朝や夜間のご相談に対応できるよう午前8時から午後9時まで営業しております。
刑事事件は、平日しか起こらないわけではありませんが、多くの法律事務所が平日のみの営業となっており、土日祝日は営業していない法律事務所がほとんどです。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、ご相談者様のニーズに少しでも応えるべく、最大限営業時間を長くしており、急な逮捕に対応できるように心がけております。
また、刑事事件に関するご相談は、どのようなご相談でも初回の相談料は無料です。
家族が逮捕されてどうしよう、警察官から呼び出しをうけた、これから刑事事件になるか心配等、様々なご相談をお受けしております。
加えて、電話相談も可能であるため、全国どこからのご相談でもお受けしており、遠方の方、お住まいの地域に土日祝日に営業している法律事務所がない方等の刑事事件に関するご相談を日々多数お受けしております。
刑事事件の全体像
刑事事件の流れ
起訴前弁護
勾留決定前
被疑者が警察官により逮捕されて72時間は逮捕期間となります。
警察官による48時間以内の取り調べの後、その後、検察庁へ送致され、検察官による24時間以内の取り調べが行われます。
検察官は、取り調べ後、裁判官に対し、10日間の身体拘束を求める勾留請求の手続きをするか、釈放し在宅にて捜査をするのか判断することになります。
被疑者自身やご家族などが、私選弁護人を選任することでこの勾留請求の手続きについて争うことができ、早期の釈放につながる可能があります。
国選弁護人は、勾留決定が出た後にしか選任されないため、勾留請求手続きを争うことができません。
逮捕後72時間という短い時間の間で勾留を却下とするためには、弁護人は、意見書の作成、反省文の作成、親族の身柄引受書、嘆願書の準備や被害者との示談交渉等を行う必要があり、時間がほとんどありません。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、強制わいせつ罪、青少年保護育成条例違反、傷害罪、暴行罪、迷惑防止条例違反(盗撮行為)等の事件について、勾留却下を獲得し早期に釈放させたい実績が多数あります。
勾留請求を阻止したいとお考えの方は、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所にお早目にお電話(092-791-5900)ください。
勾留決定後
勾留後は、10日間にわたり身体を拘束され、その間に警察官や検察官より取り調べをうけることになります。その後、やむを得ない事由があるときにはさらに10日間の延長請求を検察官が行い、裁判官が決定することで勾留延長が認められる可能性があります。
この勾留延長請求に関しては、勾留延長却下を求め争うことができ、裁判官が勾留延長請求を却下との判断をくだすことで10日で身体拘束から解放される可能性があります。
また、勾留決定後は、捜査機関による取り調べの状況を常に把握し、どのように警察官からの取り調べに対応すべきか等の適宜必要に応じたアドバイスを行い、同時に、被害者と示談交渉を行うなどの弁護活動を行っていき、少しでも早期解決、早期釈放を目指していきます。
不起訴処分の重要性
上記のように、弁護人が被害者と早期に示談交渉を行い、示談を成立させることで最終的に不起訴処分となることがあります。
不起訴処分となることで、前科を回避することができ、今後の人生において多大な影響を与えます。
また、否認事件などについては、被疑者の証言によって、起訴か不起訴処分かが変わることもありますので、弁護士のアドバイスが重要です。
公判弁護
被告人が、罪を認めている場合には、できる限り量刑を軽くできるよう情状弁護に力を注ぎます。
具体的には、被害者との示談や反省文の作成、就労先の確保、情状証人へ出頭依頼、医師の診断書及び意見書提出等被告人に有利な証拠の提出を準備していきます。
他方で、無実を主張する場合には、争点を明らかにした上で検察官の主張立証には不合理点があることを指摘し、また、弁護人に有利な証拠や証言を裁判所に提出し、被告人の無実を追求します。
控訴審
控訴審は、原審の判断に不服の場合、原審の判断を争うための手続きです。
控訴審で争う多くの事例が、原審で実刑判決になった場合、また原審で無罪を主張していて有罪の判断がなされた場合が多いです。
原審で実刑判決になってしまった場合であっても、控訴審において再度しっかりと事実の確認をし、主張を行い、また、被害者様と示談(嘆願書取得など)が成立した場合等は、原審の判断が覆され、執行猶予判決が付されることや、大幅な減刑になることがあるため、原審の判断に納得いかない場合には、控訴を行いしっかりと争うことが重要です。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、控訴審からのご依頼もお受けしております。
よく、控訴審の依頼をお願いしたらお断りされたという話を聞きます。
控訴審の裁判は、原審の裁判が前提になるため、独特の難しさがあるため、お断りされる弁護士の先生が少なくありません。
また、これまで当事務所の弁護士は、控訴審において減刑になった事件や、執行猶予判決となった事件、控訴審において保釈請求が認められた事件など多数の事件を解決してきた実績があります。
原審において示談が取れなかった事案であっても、控訴審において当事務所の弁護士が交渉することで示談が成立したことも多数あります。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、どのような事件であっても真摯に取り組み、よりよい解決をご相談者様と一緒に目指していきます。
よくある相談例
Q 国選弁護人と私選弁護人どちらがよいか迷っています
刑事事件において、被疑者・被告人の手続きのために弁護活動を行う弁護士を「弁護人」といいます。
「弁護人」には、「私選弁護人」と「国選弁護人」がいます。
「私選弁護人」は、被疑者・被告人やその家族などが自由に選任するもので、私選弁護人をどのような弁護士にするのか選ぶことができます。
他方で、「国選弁護人」は、経済的理由やその他の事由により私選弁護人を付けることできない場合に、国(裁判所)が選任しますが、弁護士を選択することはできず、登録されている当番の弁護士が選任されることになります。
どちらの弁護人も、権限に違いはなく、被疑者・被告人のために全力を尽くす活動をします。
ただし、「国選弁護人」が付くのは原則として勾留後となるのに対して、「私選弁護人」は逮捕段階(任意取調べ等)の早いタイミングで付けることができるので、先述の通り、刑事事件に強い刑事事件専門の弁護士を選ぶことができます。
「私選弁護人」は、早い段階で勾留却下や不起訴について争える、また、弁護士を選ぶことができる点で、メリットがあるといえます。
逮捕勾留は最大23日にも及び、身体的精神的に著しい負担が生じることからすると、早い段階で積極的な弁護活動ができるのは重要な意味を持ちます。
Q 自首に付き合ってほしい
よくあるご相談として、「自首したほうがよいですか」、「自首したいけど一人で警察署に行くのは抵抗がある」等のご相談をお受けしております。
自首を行うメリットとしては、刑が軽減される可能性がある点、逮捕を免れる可能性がある点があります。
自首に一人で行くには勇気がいりますし、不安も多いと思います。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、弁護士が一緒に警察署に赴きますので、一人で出頭する不安の解消や、事前に警察官に弁護士が付いているということを伝えることができますので、不当な取り調べを抑止することにもつながります。
自首することにより、証拠隠滅のおそれが減少され、逮捕を免れる可能性もあるため、しっかりと弁護士と相談の上、自首する段取りを行い、自首することが重要です。
Q 保釈してほしい
保釈とは、保証金の納付を条件として、勾留の執行を停止し、身体拘束を解くことをいいます。
保釈は、昨今公訴事実を認めている事案においては、比較的認められることが多いですが,否認事件においては、被告人が公訴事実を否認する限り、容易に保釈が認められない運用がなされています。
また、仮に、認められたとしても保釈保証金の金額は高額化の傾向にあります。
保釈に関する決定に対する不服の申立て方法としては、準抗告や抗告が認められています。
被疑者が起訴された場合には、すぐに保釈請求をおこなうことが重要です。警察署での留置は精神的負担が多く、また、刑事裁判に向けた準備も身体拘束された状態のままでは必ずしも十分に行えるとはいえません。
被疑者の時点から起訴されることが濃厚な場合には、保釈の準備を行い、起訴と同日に保釈請求できる準備をしておくことが望ましいといえます。
保釈金の金額としては、おおむね150万円から300万円以内となることが多いですが、実際の保釈金額については事案やこれまでの前科前歴等様々な要因が考慮されたうえで、決定されることになります。
Q 警察から事情をきかれている、どうしたらよいか
もちろん実際に犯罪行為を行っている場合には、素直に話をする必要がある場合もありますが、実際には行っていない場合や犯罪行為との認識がなかったような場合には、取り調べで罪を安易に認めないようにしましょう。
被疑者には、憲法上、黙秘権が認められています。一度でも認めて自白調書をとられると、それを撤回するのは難しく、犯罪行為を行っていなくても厳しい取り調べに負けてしまい、犯罪行為に加担した旨の証言を行うことはよくあります。
また、在宅事件のような場合には、急いで被害者との間で示談を行うことで逮捕を避けることができる場合もあります。
警察から事情をきかれた場合には、まずは弁護士に相談し、助言を求めてください。
当事務所では、お電話での相談などもお受けしておりますので、まずは当事務所までお電話(092-791-5900)ください。
Q 警察から、話を聞きたいので署に来るよう連絡があった。逮捕されるのか。
1 「被疑者になる」イコール「逮捕される」ではない!
まず前提として、「刑事事件の被疑者になる」イコール「逮捕される」というわけではありません。逮捕は人の自由を奪うという重大な制約を課すものですから、罪を犯した疑いがあるだけでは認められません。逮捕を行う必要性がある場合、例えば逮捕しないと逃亡するおそれがある場合や証拠を隠滅するおそれがある場合でなければ、被疑者といえども逮捕することはできません。そのため、このような逮捕の必要性がない場合、逮捕はしないまま刑事事件の手続が進んでいくことになります。この場合は、「刑事事件の被疑者になる」ものの、「逮捕される」ことはありません。このように逮捕等の身体拘束が行われていない事件を「在宅事件」といいます。一方で、身体拘束が行われている事件を「身柄事件」といいます。
2 警察から呼び出されたら逮捕される?
以上を踏まえたうえで、警察からの呼び出しについて考えてみましょう。
質問の場合の警察からの呼び出しは、あくまでも任意で事情聴取をしたいので出頭してくださいという要請にすぎません。そのため、本来、呼び出しを受けた者としては、呼び出しに応じようが応じまいが自由であり、拒否することもできます。警察としてすぐに逮捕すべき事案であれば、このような任意の出頭を求めても出頭を拒否され、逃亡や証拠隠滅に動かれてしまうリスクもあります。そのため、警察が逮捕しようとしているケースであれば、証拠が揃った時点で逮捕状を取得して逮捕に向かったり、そうでなくても不意打ちで訪問し任意同行を求めたりすることが多く、電話等で任意の呼び出しを行うことはあまり多くありません。警察が任意の呼び出しを行っている場合、通常は(少なくともその時点では)逮捕することなく在宅事件として捜査を行うことを予定している場合が多いです。したがって、この場合に呼び出しに応じてすぐ逮捕される危険性はあまり高くないと考えられます。
3 じゃあ呼び出されても無視しておけばいい・・・わけではない!
ただし、注意しなければならないことがあります。警察からの呼び出しがあった際に、所詮任意だからと軽視して、理由もなく呼び出しを拒否し続けることはお勧めできません。任意での出頭要請であっても、実際には、警察からの再三の呼び出しに拒否をし続けた場合や、行くと答えたのに無断で行かなかった場合等には、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると評価されて、のちに逮捕につながる危険性があります。そのため、逮捕を避けるためにも、可能な限り呼び出しには応じる方が良いでしょう。その場合には、取調べへの対応や注意点、今後の流れ等について、あらかじめ準備して臨むことがとても大切です。まず一度、弁護士に相談し、助言を受けることをお勧めします。
Q 執行猶予とは何か。執行猶予をつけるにはどうしたらいいのか。
1 そもそも執行猶予って何?
執行猶予とは、刑が言い渡された後、直ちに刑に服するのではなく、定められた一定の期間、その刑の執行を猶予する制度です。懲役刑であれば、刑の全部に執行猶予がついた場合、すぐに刑務所には入らず、日常生活を送ることができます。その間は、当然、家族や友人と過ごすこともできますし、仕事や学校に行くこともできます。
執行猶予期間は、最短で1年間、最長で5年間の範囲内で定められます。この執行猶予の期間中に新たに罪を犯すなどして執行猶予が取り消されてしまうと、改めて刑に服することになります。一方で、執行猶予が取り消されることなくその期間を経過すれば、刑の言い渡しは効力を失いますので、刑に服することはなくなります。
2 執行猶予がつくのはどんな場合?
では、どんな場合に執行猶予がつくのでしょうか。
執行猶予と一口に言っても、大きく分けて「刑の全部の執行猶予」と「刑の一部の執行猶予」がありますので、そのどちらかによって執行猶予がつけられる条件は異なっています。また、既に他の事件で執行猶予中の場合に、再度、刑の全部の執行猶予をつけるためには、通常よりも厳しい条件があります。
このうち「刑の一部の執行猶予」は、薬物使用等を除き、ケースとしてあまり多くありません。そのためここでは、より一般的な「刑の全部の執行猶予」について見てみることとします。
(1)刑の全部の執行猶予
刑の全部の執行猶予は、次の2つの条件をいずれも満たした場合に、情状に応じて、つけられる可能性があります。
1つ目の条件は、その判決で言い渡す刑が、3年以下の懲役刑・禁錮刑か、50万円以下の罰金刑であることです。ただ、実際には、罰金刑で執行猶予がつくことは少なく、執行猶予がつくのは懲役刑や禁錮刑であることが多いです。ちなみに、懲役刑とは刑務所に収容されて刑務作業という労働を行う刑であり、禁錮刑は同じく刑務所に収容される刑ですが、刑務作業が義務でない点で懲役刑と異なります。
2つ目の条件は、その判決の言い渡し前に禁錮以上の刑に処せられたことがないか、あるいは禁錮以上の刑の執行を終わったり免除されたりしてから5年以上が経過していることです。ここでいう「禁錮以上の刑」とは、死刑、懲役刑、禁錮刑の3つを指します。また、刑の「執行を終わった」とは、刑期満了で刑務所を出所した場合や、仮釈放で出所してこれを取り消されることなく期間満了となった場合をいいます。ちなみに、前に執行猶予付きの懲役刑・禁錮刑に処せられた場合であっても、執行猶予が取り消されることなくその期間を経過すれば、刑の言い渡しは効力を失うことになりますので、そもそも禁錮以上の刑に処せられていないという扱いになります。
以上の2つの条件を満たしていることを前提としたうえで、犯罪の軽重や悪質性、犯行に至った動機、被害者との示談の有無等、種々の事情を考慮して、刑の全部の執行を猶予すべきか否かが判断されることになります。
(2)再度の刑の全部の執行猶予
執行猶予付きの罰金の場合を除くと、既に他の事件で執行猶予中の場合には、上に掲げた2つ目の条件を満たすことはありません。そのため、通常の条件では刑の全部の執行猶予をつけることはできません。
禁錮以上の刑で執行猶予中の人には、別途、再度の刑の全部の執行猶予をつけられる条件が定められています。その条件は、通常の場合と比べて厳しいものとなっています。
1つ目の条件は、禁錮以上の刑に処せられて、その刑の全部の執行を猶予されていることです。
2つ目の条件は、その判決で言い渡す刑が、1年以下の懲役刑・禁錮刑であることです。再度の執行猶予については、罰金刑は対象に含まれていません。
3つ目の条件は、情状に特に酌量すべきものがあることです。既に述べたとおり、通常の場合にも情状に応じて執行猶予をつけるか否かを判断します。しかし、再度執行猶予をつけるとなれば、より一層、考慮されるべき情状事実が必要となります。具体的に考慮される事情自体は通常の場合と同様ですが、それら種々の事情を踏まえたうえで、その人を刑務所に収容する必要性が乏しく、なおかつ社会内での更生の見込みが大きいような場合でなければなりません。
4つ目の条件は、既になされている執行猶予の保護観察期間中でないことです。刑の全部の執行猶予を言い渡す場合には、その期間中に保護観察をつけることができます。この保護観察は再犯の防止や更生を図る目的で行われるものであり、その保護観察期間中に別の犯罪で判決言い渡しを受ける場合には、全部の執行猶予をつけることができません。
以上の4つの条件を満たした例外的な場合には、再度の刑の全部の執行猶予をつけることができます。
3 執行猶予をつけるにはどうしたらいいの?
これまで述べたように、執行猶予をつけることができるのは、法律上一定の範囲に限られています。ただ、実際の事案で執行猶予がつくかどうかの分水嶺となるのは、良い情状事実がどの程度認められるのかという点です。したがって、裁判の場において、良い情状事実を主張立証することで、執行猶予を目指すことになります。
その中でも、被害者との示談が成立しているか否かは大きな考慮事情の一つになってきます。そのため、起訴された場合に執行猶予をつけられる可能性を上げるという観点からも、少しでも早い段階から示談交渉を行うことが非常に有用です。
Q 家族が逮捕された。警察署に行けば会えるのか。手紙や物の差し入れはできるのか。
逮捕されると、通常は、警察の留置施設(留置場)で身体拘束を受けることになります。しかし、家族がその警察署に行っても、通常会うことはできません。
逮捕の形で身体拘束できるのは最大72時間に限られています。捜査機関としてはその間に取調べ等の捜査を行って、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断したり、身体拘束を続けるため勾留請求するか否かを判断したりしなければなりません。そのため、日中は取調べを受けたり実況見分に立ち会ったりする時間が多く、家族との面会を行う時間を取ることもありません。したがって、通常は家族が面会することはできない運用になっています。
2 勾留段階では原則会える! ただし例外や制限も・・・。
裁判所で勾留の決定が出た場合、逮捕から引き続いて身体拘束が行われます。この勾留の段階になった後であれば、原則として家族とも会うことができます。
ただし、例外があります。勾留中に広く面会を認めることで、証拠隠滅等をされると疑うに足りる相当な理由がある場合、裁判所は接見禁止の決定を出すことができます。裁判所が接見禁止を決定した場合は、弁護士以外の人と面会することはできなくなるため、家族であっても会えないことになります。
また、接見禁止決定がなされず、家族との面会ができる場合であっても、面会に当たっては様々な制限が課されます。例えば、面会できる時間は、平日の日中に15分程度に限り許可されるようになります。ただし、取調べ等の捜査の必要があればそちらが優先され、家族の面会が断られることもあります。さらに、面会が許可された場合でも、警察官がその場に立会い、事件に関する話をすることはできません。
このように、勾留段階であっても、接見禁止決定が出て面会することができない場合があり、また面会できても種々の制限のもとで許される形となります。
3 手紙を送ったり差し入れしたりできる?
手紙のやり取りについても、逮捕の段階と勾留の段階で分けて考える必要があります。
逮捕段階では、通常、手紙のやり取りは認められません。そのため、警察官の許可がある例外的な場合でなければ、手紙を送ったり差し入れしたりすることができません。
一方、勾留段階になれば、原則として手紙のやり取りが可能になります。ただし、面会の場合と同様に、例外や制限があります。
接見禁止決定が出る際、多くの場合は書類の授受も禁止する旨の決定が一緒に出されます。その禁止決定が出ている場合には、手紙のやり取りをすることもできなくなります。
また、禁止決定が出されず手紙のやり取りができる場合であっても、手紙の内容は、留置施設に送るものも留置施設から送るものも、いずれも警察官によって内容をチェックされます。そして、手紙の内容によっては、勾留されている人に渡すことや外部の人に送ることを認めない場合もあります。
4 手紙以外に物を差し入れることはできる?
手紙以外の物の差し入れについては、面会や手紙のやり取りに比べると広く認められます。ただ、こちらも無制限に認められるわけではありません。
まず、逮捕段階に差入れができるかどうかは、警察署や警察官によって異なる運用がされているようであり、一般に差し入れが認められるものではありません。
勾留段階になった場合には、接見等禁止決定の有無にかかわらず差し入れをすることができます。差し入れで多いのは、現金や本、衣類等です。留置施設内で日用品や食料品を購入することができるため、現金の差し入れが喜ばれます。また、取調べ以外の時間はすることがなく、刑事手続が進むにつれて取調べも減ってくるため、本の差し入れを求める方も多くいます。
一方で、差し入れができないものもあります。例えば、紐のある衣類は自殺防止の観点から一般に認められません。またシャンプー・ボディソープ等も、中身やその成分の確認ができないため、差し入れできないのが一般的です。その他の物品についても、警察署によって差し入れが禁止されていたり、金額や数量の制限があったりするため、事前に警察署に確認を取ってから差し入れを行うのがお勧めです。
5 弁護士は面会できる!
以上のとおり、ご家族であっても面会や差入れには多くの制限があります。しかし、弁護士であれば、逮捕段階から面会することができます。弁護士との面会は、取調べ等に対するアドバイスを行うことができるだけでなく、外部との窓口になることもできる点で精神的な支えにもなります。もちろん証拠隠滅につながる内容等、伝言として伝えられないこともありますが、感謝や謝罪の気持ち、差し入れの要望等を伝えることができるのは大きなメリットです。その点でも、まず面会からでも弁護士にご相談ください。
少年事件
少年事件は、成人事件と異なり、少年の将来について考え、少年が二度と非行を行わず、どのようにすれば、今後の少年の人生が豊かになるのか周囲の方と一緒に考えることが重要です。
少年事件について考える際には、少年の話をじっくり聞き、少年に意見を押し付けることなく、少年が自発的に物事を考えることができるように、周囲の大人や弁護士、家庭裁判所が協力し、少年の成長を促し、また、生活環境や人間関係等を周囲の方々の手助けにより整え、少年がより安心して、生活でき、自己成長を促せる環境作りが必要となります。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、少年の気持ちに少しでも寄り添い、少年が二度と同じ過ちを起こさないように一緒に考えることができるよう、カウンセリングの資格の取得や研修を受講するなど行っており、ご両親と一緒に少年の明るい豊かな生活を取り戻すお手伝いを致します。
ご相談だけで構いません。お子様が逮捕された場合やお子様が事件を起こしてしまった場合、まずは当事務所にお電話(092-791-5900)ください。
手続きの全体図
少年事件について以下概要を説明します
- 1.観護措置とは
被疑者段階で逮捕又は勾留されている少年が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は裁判所に到着したときから24時間以内に、観護措置をとるか否かを決定しなければなりません。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の身体を保護してその安全を図る措置です。
観護措置は、ほとんどが少年鑑別所に収容されます。
措置の期間は、原則として2週間ですが、最大8週間まで延長が可能です。
実務上、観護措置の期間は、4週間以内となっており、4週間以内に審判が行われます。 - 2.観護措置に対する弁護士の活動
ア 観護措置を避けるための活動
観護措置は、多くの場合4週間程度収容されることから、少年の生活に重大な影響を及ぼします(学生の場合であれば退学の危険があり、就労者についても解雇の危険があります)。
このように、観護措置は少年の更生を妨げる要因になることもあるため、付添人として、観護措置を回避するための活動はとても重要になります。観護措置をするかどうかの判断は、逮捕勾留されている事案により、家庭裁判所送致後24時間以内になされるため、観護措置を避けるための活動はスピードが大事です。
具体的な活動としては、保護者と面会を重ねて家庭環境を調整する、被害弁償や示談を進める、学校・就労先との連携を図るなどして、要保護性の解消に向けた環境調整活動を行う必要があります。
イ 観護措置を争う方法
まずは、観護措置決定がなされないように事前に調査官面談や裁判官面談を行い、意見書を提出する等を行い、観護措置の決定を回避することが重要ですが、それでも観護措置決定がなされた場合には、その決定を争う方法として、①職権による観護措置の取消決定を促す方法と、②観護措置決定に対する異議の申立てがあります。
①は、観護措置決定が適法であることを前提として、その後の事情を考慮して、裁判官が取消しをするかどうかの判断をします。付添人は、観護措置の必要性が存在しないこと、観護措置による弊害が大きいことを記載した書面及び証拠を、家庭裁判所に提出します。
②は、観護措置が明らかに不当であるにもかかわらず、観護措置の取消しが認められない場合に、異議の申立てをすることができます。付添人は、観護措置の必要性が存在しないこと、観護措置による弊害が大きいことを理由に、観護措置決定が違法・不当である旨の書面及び証拠を、家庭裁判所に提出します。 - 3.処分の種類
家庭裁判所が行う処分には、主に不処分、保護観察処分、少年院送致があります。
その中で少年院送致は重い処分でありますが、少年事件の場合、必ずしも行為に比例して少年院と判断されるわけでない点に注意が必要です。
例えば、成人の場合には、初犯で前科がない場合、よほど重い結果や行為態様でなければ実刑との判断はなされず執行猶予判決となることが多いですが、少年の場合には、これまで非行歴がない場合であっても、家庭環境やこれまでの生活態度、本人の性格などを鑑みて、少年院への送致が相当と判断する場合には少年院送致の可能性があります。
このような観点から少年の事件の場合は成人事件と異なり、少年が少年院に行かず、社会の中で更生することができるようになるにはどのようにすればよいのか、ご家族や学校、職場の方等と一緒に話し合い、環境整備や生活習慣の見直しをしっかり図ることが重要であります。
少年事件でお悩みの方は、一人で悩まずに、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスまでお電話(092-791-5900)ください。
解決事例
- ・強制わいせつ事件で執行猶予判決
- ・強制性交等罪で執行猶予判決
- ・青少年保護育成条例違反で示談成立により不起訴処分
- ・迷惑防止条例違反やストーカー規正法違反事件で示談成立により不起訴処分
- ・傷害罪や暴行罪で不起訴処分
- ・器物損壊事件について、示談成立により不起訴処分
- ・準強制性交等罪の事件において、同意があった旨検察官に説明の上不起訴処分
- ・複数回窃盗を繰り返し、実損害額3000万円を超える窃盗事件について、被害者と示談を行い、執行猶予判決 等これまで多数の執行猶予判決や不起訴処分獲得の実績があります。
取り扱い事件例
性犯罪事件を中心に、薬物事件、傷害事件、窃盗事件等幅広い分野の刑事事件を取り扱っており、これまで多数の不起訴処分や執行猶予判決獲得の実績があります。
- ・強制わいせつ罪
- ・強制性交等罪
- ・児童買春、児童ポルノ
- ・・窃盗罪(クレプトマニア)
- 詐欺罪
- ・業務上横領罪
- ・暴行・傷害罪
- ・交通事故(加害者側)
- ・恐喝、脅迫、強要罪
- ・放火
- ・薬物事件(大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反)
- ・住居侵入罪
- ・ストーカー規制法違反
- ・迷惑行為等防止条例違反
- ・少年事件
- ・青少年育成条例違反
- ・業務上過失致死罪
等その他多数の解決実績あり。
性犯罪に対する弁護活動への思い
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、これまで多数の性犯罪事件を解決してまいりました。
性犯罪事件は、強制性交等罪などの被害になると「魂の殺人」と言われるものであり、被害者様の精神的な苦痛は計り知れないものがあります。
性犯罪の加害者の中には、残念ながら非常に再犯率も高いこともあり、同種の犯罪行為を繰り返し行ってしまい、何度も捕まる方がいます。特に、盗撮行為などは数百回に渡り、繰り返し行ってしまっている方も多数います。
その度に、「二度と犯罪行為を行いません。」と約束しますが、やはり同じ過ちを繰り返してしまっている方が非常に多いのが現状です。
また、性犯罪の弁護を行っていると、頻繁に、なぜそのような「魂の殺人」を行うような人を弁護するのかという質問を受けます。
加害者が犯罪行為に至るまでには個々の様々な理由があり、必ずしも加害者だけが悪いと言い切れないような場合もあります。私たちは、加害者がいわれなき重い処罰をうけないよう、しっかりと弁護活動を行う必要があり、適正な処罰を求めるべく、弁護活動を行っております。
また、弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、被害者様への謝罪、再犯防止に力を入れ、悲しい思いをする人を一人でも減らしたいという思いで性犯罪の問題にと組んでおります。
性犯罪の被害は非常につらいものであり、本人のみならず、家族や恋人など多数の方を傷つけてしまう恐れのある犯罪行為であるため、加害者の弁護士としては、そういった被害者様の気持ちを十分に汲み取り、被害者様に対し、加害者に代わり、真摯な謝罪を行うともに、被害者様の気持ちが少しでも慰謝されるように話し合いを重ねる必要があると考えております。
また、上記のように、性犯罪は、再犯が非常に多い罪です。加害者が再犯を起こさないことが次なる被害を生まないために重要であり、また、加害者自身の人生にとっても非常に重要な点であるため、加害者と一緒に、どうすれば再犯を行わないか、徹底的に一緒に考え、対策を講じていきます。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所の取り組みの一つとして、弁護士坪井を中心として、カウンセリングを行っており、刑事事件として解決した後も、一定期間加害者と一緒に事件について考え、なぜ事件につながったのか、どうしたら二度と同じ過ちを行わないかをなど考え、再犯防止に努めております。
必要に応じて、臨床心理士などの専門家や性障害専門の医療機関への通院を促し、加害者の再犯防止を図っております。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、刑事事件を多数取り扱う中で、加害者自身が更生し、人生の再出発の後押しをおこなっていきたいと考えながら、多数の刑事事件を解決しており、今後も多くの刑事事件を解決していきたいと考えております。
刑事事件の示談について
刑事事件だけでなく、交通事故などのトラブルが発生した時、よく「示談」という言葉を耳にすると思います。
刑事事件の示談とはどういったものであるのか、示談のメリットとデメリットなどについて、ご説明します。
1. 刑事事件の示談とは
刑事事件には、加害者と被害者がいる場合が一般的ですが、その双方が裁判手続きではく、話し合いにより問題を解決することを「示談」と言います。
示談を締結する際には、加害者が被害者に対して、慰謝料や損害賠償金を含めた「示談金」を支払うのが一般的です。
双方が損害を与えあっている場合などの時は、「お互い金銭を請求しない」と言った内容の示談を交わすこともあります。
示談について、双方合意が得られれば、双方が認めた内容を書面にまとめるのが一般的です。これを「示談書」と言います。
示談の成立は、あくまで民事上の損害賠償に関する問題を解決するものであって、示談が成立したとしても、刑事処分を科せられることがあります。
しかし、示談は、加害者、被害者の双方が合意の上、交わした契約として法的な効力を持つことから、示談の結果により、刑事裁判を回避されたり、刑事処分が軽減される可能性が高まります。
ですから、刑事事件における示談は極めて重要となります。
2. 示談の対処となる犯罪
刑事事件の中には、示談が可能な犯罪と示談では解決できない犯罪があります。
刑事事件の示談の対象となる犯罪は、被害者が存在し、被害者自身が犯罪の性質上許すことができるものに限られます。
示談によって解決が期待できるのは、
- 窃盗・強盗・詐欺・横領・恐喝などの財産犯
- 強姦(強制性交)・強制わいせつ・痴漢・盗撮などの性犯罪
- 暴行・傷害などの粗暴犯
- 器物損壊や名誉棄損のような犯罪
など、特定の被害者が存在する犯罪です。
これに対して、
- 文書偽造罪や公務員に対する犯罪
- 贈収賄や脱税などの経済事犯
- 覚せい剤所持・使用、大麻の所持などの薬物犯罪
- けん銃所持や賭博罪などの犯罪
などのように、特定の被害者が存在しない犯罪では、示談による解決は期待できないことが多いです。
また、公然わいせつ、児童買春、児童ポルノ法違反、青少年育成条例違反などのような犯罪については、法の保護しているものが公益ですので、示談によって被害者の許しを得たとして処罰の必要性がなくなる犯罪ではありません。しかし、事実上、被害に遭った人が存在するので、示談の成立が刑事処分に影響を与えることは間違いありません。
3. 刑事事件で示談を行うメリット
被害届の取下げにより、逮捕・勾留されにくくなる。
被害者との示談内容に、被害届の取り下げを条件に盛り込むことが重要です。
示談によって被害届が取り下げられれば、逮捕・勾留の要件が欠けたり、必要性が低いと判断されることから、警察が捜査を中断したり、検察官が処分を軽くしたりする可能性があります。
早期釈放の可能性が高まる。
逮捕され、身柄拘束を受けている事件であっても、被害者と示談をすることで、身柄拘束の要件である罪証隠滅や逃亡の恐れがないものと判断され、勾留されず釈放されたり、起訴後であれば保釈が認められ、釈放される可能性が高まります。
また、示談成立前であっても、弁護士が示談交渉することを条件に、検察官に対し釈放を求めることで、処分保留で釈放されることも少なくありません。
不起訴または執行猶予など、刑の減軽の可能性が高くなる。
たとえ逮捕、勾留されたとしても、被害者と示談をすることで、被害回復や被害者の処罰感情が低下しているものとみなされ、刑事罰を科する必要性が低くなっていると判断され、不起訴や執行猶予となる可能性が高くなります。
また、逆に罰金や執行猶予となることができた事件が、示談をしなかったことで、実刑となってしまう可能性もあります。
ですから、示談をする時、示談書の中に「処罰を求めません」と言った内容(宥恕条項)をいれた示談を交わすことが重要です。
民事上の損害賠償請求をされなくなる。
性犯罪や財産犯など被害者がいる事件については、加害者は刑事罰を受けるのみならず、民事上の損害賠償義務があります。
このような時、弁護士は示談書には、加害者に対して、一定の金銭を支払う旨の条項を入れるとともに、示談後に被害者は加害者に対して、民事上の損害賠償請求を含めて、「一切の請求しません」といった、清算条項を入れます。
これにより、民事上の損害賠償請求も解決することができます。
4. 刑事事件で示談を行うデメリット
刑事事件の示談には、メリットだけではなく、当然デメリットもあります。
示談は取り消し、やり直しができない。
示談で双方が合意した内容は契約として法的効力を生じることから、一度合意すれば原則として、示談の取り消し、やり直しはできません。
ですから、安易に相手の要求に応じたり、解決を急ぐあまりに不利益な条件をのんだりすることは危険です。
示談しても、刑事罰を避けられないことがある。
被害額が多かったり、被害者の負傷程度が重い場合などは、たとえ示談が成立していたとしても、刑事罰を避けられないことがあります。
また、示談に応じるか、条件に合意するかどうかは、被害者の意思次第です。
被害者と加害者の間に大きな争いが生じている場合は、示談に応じてもらえなかったり、条件面で合意が得られなかったりして、示談できないことがありますので、解決は難しくなります。
5. 刑事事件の示談のタイミング
示談は早い段階がベスト!
刑事事件の示談の開始は、早ければ早いほど良いと言えます。
基本的には、時間が経てば経つほど、刑事事件として捜査が進んで行き、事態が深刻化していきますので、、早ければ早いほど示談交渉をした方がいいと言えます。
ただ、事案によっては、事件直後に被害者に示談の話を持ち掛けたことで、被害者の被害感情を害し、示談が成立しそうな事案であっても、結果的に示談が成立しないと言ったこともありますので、時機を見計らいながら示談を進めることが重要です。
示談交渉は、被害者と加害者の当事者間ではなかなか進みませんし、合意も得難いところがあります。 そこで、弁護士を間に挟むことで、示談交渉がスムーズに進み、合意を得られることも可能となります。
示談交渉を成功させるには、刑事事件に経験豊富な弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスの弁護士は、事件の解決に向けて、刑事事件における示談交渉を積極的に勧めております。
当事務所の弁護士は、刑事事件で、逮捕を免れたり、勾留が却下されたり、不起訴や執行猶予等の刑の減軽等を多く獲得した経験があります。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、ご依頼者様のご利益を優先的に考え、スピーディーな対応に心掛けておりますので、刑事事件で起こしてしまった場合は、なるべく早くご相談ください。
刑事事件の示談交渉の流れについて
刑事事件における示談は、逮捕や勾留を避けたり、不起訴や執行猶予となる可能性から重要であり、示談交渉は、早ければ早い方がよいと考えられています。
刑事事件の示談交渉は、加害者本人が行うことは非常に難しいことから、弁護士にご依頼されることをお勧めします。
それでは、刑事事件の示談交渉の流れについて、ご説明します。
刑事事件の示談交渉を弁護士に依頼されると、通常、次のような流れとなります
1. 被害者への示談の申し入り及び連絡先の確認
刑事事件の場合、示談交渉をしようとしても、被害者の連絡先等が不明な場合が多く、 その場合は、検察官や警察官等の捜査機関に確認します。
加害者本人が、警察等に被害者の連絡先等を問い合わせても、基本的に回答してくれません。
しかし、加害者から依頼を受けた弁護士は、被害者との示談の申し入れを行うことで、被害者の連絡先等の問い合わせを行います。
警察官や検察官等の捜査機関は、弁護士の問い合わせに対して、被害者の連絡先等を回答してくれる可能性が髙いです。
2. 捜査機関からの被害者への意思確認
弁護士からの示談の申し入れと連絡先の問い合わせに対して、捜査機関は被害者に連絡し、加害者が依頼した弁護士から示談の申し入れがあっていることを告げるとともに、連絡先等を弁護士に伝えてよいか、意思確認を行います。
3. 被害者の連絡先の伝達の承認
被害者は、捜査機関からの問い合わせに対して、示談交渉に応じる意思があれば、加害者側の弁護士に、連絡先等の伝達を承諾します。
4. 捜査機関からの連絡先等の伝達
警察官・検察官等の捜査機関は、被害者から弁護士に連絡先を伝えてよいとの承諾を得たならば、弁護士に被害者の連絡先等を伝達します。
5. 弁護士による被害者への謝罪
弁護士は、被害者の連絡先等を教えてもらったならば、まず、被害者に対し、謝罪の申し入れを行います。
加害者側の弁護士から、いきなり示談の申し出があると、被害者としては気分を害し、到底示談に応じる気持ちにはなれません。
弁護士は、加害者に代わり、加害者が真摯に反省し謝罪していることを伝え、示談交渉に応じてくれるようにお願いします。
6. 示談交渉の申し入れ
弁護士は、被害者に示談交渉に応じてくれるように、示談交渉の申し入れを行います。
被害者から示談交渉に応じてくれるとの同意を得たならば、示談交渉を行います。
7. 示談交渉の開始
被害者から示談交渉の同意を得たならば、示談交渉を開始します。
示談交渉の内容についは、
① 示談金の金額の提示
被害者の被った損害を金銭に換算して、被害の回復を図るもので、物的損害で あれば、その物の価格を賠償します。
また、精神的や肉体的な損害については、金銭に換算することが難しく、被 害者が求める金額も上がります。
ですから、刑事事件の示談金については、犯罪の種類や被害の程度、被害者の精神的苦痛の度合いや処罰感情の強さ、加害者の経済的能力などを考慮して、交渉にあたり、示談金の金額を決定します。
② 示談金の支払方法の確認
示談金の金額が決定したら、示談金の支払方法について、交渉します。
振り込みを希望される場合は、振り込む金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人等を教えてもらう必要があります。
直接の受け渡しを希望される場合は、示談金を持参します。
示談金は、一括の支払いが原則です。
示談金を振り込んだり、直接渡す場合であっても、示談金を支払う前に、示談書の作成が望ましいです。
③ 宥恕文言への同意
示談金を受領したならば、被害届や告訴状を取り下げることや被害者を許すと言った文言(宥恕文言)に同意を得ることへの交渉を行います。
8. 示談交渉の成立および示談書の作成
被害者と、示談金額や示談内容に合意ができたならば、弁護士が示談書を2通作成します。
示談書は、被害者と加害者の弁護士双方が署名押印し、それぞれ1通ずつ保管します。
示談書には、
①示談金の金額
②示談金を受領したら、被害届や告訴状の取り下げや被害者がこの事件の加害者を許すと言った文言(宥恕文言)
③加害者と被害者との関係をこの示談で清算する(清算条項)
等の内容を記載します。
また、事件について一切第三者に口外しないこと、SNSに書き込まないことや場合によっては、加害者は被害者を見つけても近づかない(接触禁止)なども示談の条件に入れることがあります。
9. 示談金の支払い
示談が成立し、示談書に合意ができ、署名押印すれば、示談が成立します。
示談が成立すれば、示談書の内容に従い、示談金の支払いを行います。
被害者の被害感情や処罰感情が大きい場合には、慰謝料は受け取るが、被害届や告訴上の取り下げなどはしないという方もいますので、その場合は、被害弁償したことの証として、示談金(慰謝料)領収証を作成してもらいます。
10. 示談書の検察・裁判所への提出
被害者との間で示談が成立したならば、起訴前であれば検察庁へ、起訴後であれば裁判所に、示談書の写しを提出します。
示談が成立していると、起訴前であれば不起訴処分につながりやすく、起訴後であれば刑が軽くなる可能性が高くなります。
刑事事件を起こしてしまった場合、被害者との示談を成立させることで、その後の事件の流れに大きく影響することが、示談交渉を早い段階で弁護士に依頼することをお勧めします。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスの弁護士は、刑事事件の経験が豊富で、示談交渉を積極的に勧めることで、逮捕を免れたり、勾留却下、不起訴、執行猶予等、多く獲得した経験があります。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、ご依頼者様のご利益を優先的に考え、スピーディーな事件処理に心掛けておりますので、刑事事件で起こしてしまった場合は、なるべく早くご相談ください。