金銭トラブル

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、金銭トラブルに関する案件を数多く取り扱っています。
今回は、金銭トラブルについてご説明します。

解決のためのプロセス

一口に金銭トラブルと言っても、お金にまつわるトラブルは多種多様です。例えば、お金の貸し借りでのトラブル、詐欺の被害、金融機関や貸金業者への借金の返済、闇金の被害など、いずれもお金にまつわるトラブルではありますが、対応方法も種々異なっています。

このうち、お金の貸し借りや詐欺被害など、相手にお金の支払いを請求するような場合の一般的な解決プロセスとしては、大きく分けると、①任意での支払いの交渉、②訴訟など裁判所を利用した法的手続、③強制執行による回収、の3つがあります。

支払いの交渉

まず、相手に対して、期限を定めたうえでその期限までにお金を支払うよう請求します。これは、内容証明郵便などの書面で送ることが多いですが、従前の関係性や相手のキャラクター等の諸々の事情を踏まえて、電話やSNS等の他の手段を用いて行うこともあります。
もちろんこの請求は自分で行うことができます。ただし、自分で行う場合と弁護士が行う場合とでは、事実上、効果が異なってきます。
自分でこのような請求をして素直に払ってくれるような人であれば、そもそもトラブルになることも少ないので、請求を無視される可能性が高いと言わざるを得ません。
一方で、弁護士から請求が来た場合、相手は無視した場合のリスクを考えます。訴えられるかもしれない、家族や勤務先に知られるかもしれない、弁護士費用や裁判費用などを上積みして払わなければならなくなるかもしれない、財産を差し押さえられるかもしれない、場合によっては刑事事件になるかもしれない、といった様々なリスクです。このようなリスクを避けるために、相手が任意に支払いに応じる可能性が高くなります。また、支払いに応じるまではいかない場合でも、少なくとも完全に無視するのはまずいと考え、何らかの連絡を入れることが多いです。これにより交渉のテーブルにつくことができます。
したがって、任意に払ってもらえる可能性を上げるためには、弁護士から請求を出す方がより有効な手段となります。
なお、「弁護士の通知文イコール内容証明郵便」というイメージの方もいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。ただ、請求を行ったことやその日付の証明になるため、後の訴訟等を見越して必要であれば内容証明郵便で請求を行うことになります。また、相手に本気度を伝え、より大きなプレッシャーを与える目的で用いることもあります。
逆に言えば、弁護士から内容証明郵便で請求が来た場合には、次の法的手続をも検討していることが多いため、無視することは危険です。早急に弁護士にご相談ください。

最初の請求を経て、話し合いで解決の余地がある場合は、話し合いを行って、合意できる落としどころがあるのかを検討します。 どのくらいの金額であれば支払う意思があるのか、いつであれば支払えるのか、一括で支払えるのか分割でないと支払えないのか、支払いを担保する手段はあるのか等、具体的な意見の一致点と相違点を明確にして、相違点についてはお互い歩み寄れば合意できるのかを探ります。訴訟等まで進むことはお互いにリスクやデメリットがあることも多く、合意で解決できるのであれば歩み寄るのも有効な解決策と言えます。
ここで合意ができた場合には、内容を明確にした合意書を作成することが大切です。請求する側としては、再度の不払いに備えて、すぐに強制執行できるよう公正証書の形式で合意書を作成することも考えられるところです。
交渉をご本人同士で行って合意できた場合であっても、作成する合意書の内容には十分注意が必要です。事後的に争いが再燃したり、自分が一方的に不利な条項を負ったりすることのないように、合意書の作成や内容チェックだけでも弁護士に相談することをお勧めします。

裁判所を利用した法的手続~強制執行

金銭トラブル解決のための裁判所の法的手続としては、訴訟、民事調停、支払督促が挙げられます。

訴訟は、一般的にイメージするいわゆる「裁判」です。お互いに法的な主張や証拠による立証を行って、判決として請求が認められるか認められないかを決することになります。なお、訴訟に入った後、裁判所からの和解勧奨が行われることもしばしばあり、和解で解決することもあり得るところです。
訴訟の場合は特に、主張する内容の法的な構成や手続上のルールなど、専門的な知識を必要とするため、弁護士を入れずに行うことは現実的に困難と言わざるを得ません。
ただし、請求額が60万円以下の場合は、簡易な手続で行うことができる少額訴訟という訴訟もあります。もし自分で訴訟を行おうとする場合には、少額訴訟の手続を利用するのが良いでしょう。もちろん弁護士を入れて少額訴訟を行うことも可能です。

民事調停は、裁判所で行う話し合いの手続です。主に調停委員という一般市民から選ばれた方が間に入って、双方の言い分の調整を図る形で、話し合いを行います。あくまでも話し合いであるため、必ずしも主張の正確性や証拠による立証が必要とはならず、お互いが納得して合意すればそれで成立、逆に折り合いがつかなければ裁判所が必要な決定を行うか何も決めず不成立で終わることになります。

支払督促は、貸金や売買代金等の一定のお金の支払いを求める場合などに使える手続で、請求する側の申立てに基づいて、双方とも裁判所に行くことなく、申立ての書類審査のみで支払いを命じる簡易な手続です。裁判所の書記官が出した支払督促を受け取った相手が異議を申し立てなければ、請求する側の申立てによって、仮執行宣言、強制執行へと進んでいくことになります。相手から異議の申立てがなされないことが想定される場合には、簡易な手続で強制執行できる可能性があるため、利用しやすいものと言えます。貸金業者が取り立ての手段としても利用することもあります。
逆に支払督促を受け取った場合は、放置しておくと財産の差し押さえ等を受けるリスクが大きいものです。異議申立てにも2週間の期限がありますので、直ちに弁護士にご相談ください。

これら訴訟、民事調停、支払督促といった手続を用いることで、自分の権利を確定し、必要であれば強制執行によって財産や給与を差し押さえる手続を行うことができるようになります。
簡易な手続が用意されているとはいえ、訴訟や実際に強制執行を行おうとすると、どうしても専門的な知識が必要な場面が出てきてしまいます。また、そのための時間や労力も使うことになります。そのことに鑑みると、これらの手続を弁護士に委任することにも相応のメリットが見込まれるところです。

消滅時効

金銭トラブルとの関係でしばしば問題となる点として、消滅時効があります。
消滅時効とは、一定の期間、権利を行使しなかった場合に、相手がその権利を消滅させることができる制度です。例えば、お金の貸し借りで言うと、お金を貸している人が借りている人に一定期間請求しなかった場合には、借りている人が消滅時効を主張すれば、お金を返してもらえなくなる制度になります。
時効になる期間は、民法改正との関係で、権利の種類やその時期によって異なっています。貸金の返還請求であれば、令和2年4月1日以降に貸し借りがなされたような場合、その権利を行使することができることを知ったときから3年、あるいは権利を行使することができるときから5年で時効になります。通常は、返済期限を決めていなければ貸したときから、期限を決めていればその期限のときから、権利を行使できますし、貸した本人もそれは分かりますから、そこから3年間請求しないと時効ということになります。
ただし、その時効が完成するまでの間に、訴訟を提起して判決が確定したり、借りている人が一部払ったりすると、時効はリセットされることになります。
また、時効が完成していても、その後請求されるままに払ってしまえば、後で時効の主張ができなくなることになります。
金銭トラブルの場合には、お金を請求する側は消滅時効によって支払いが受けられなくならないか、請求される側は払わなくてよい状態になっていないか、注意する必要があります。長いこと払っていないお金の請求をする場合、あるいは請求された場合には、時効になっていないか弁護士に相談することをお勧めします。

よくあるご質問

Q 相手に電話しても全然出なくて、住所とかも知らないのですが、請求する方法はありますか?
Q 前住んでいた住所から引っ越したようで、今どこにいるかも分かりません。どうしたらいいですか?

任意に支払うよう相手と交渉をするにしても、訴訟等をするにしても、まずは相手の連絡先を把握することから始まります。特に訴訟などの裁判所を利用した手続との関係では、相手の住所の把握が非常に重要になります。
もちろん相手の住所を元々知っているという場合は問題ないのですが、現実には、ご質問のように、電話番号しか知らない場合や、前の住所は知っているものの引っ越して今の住所は分からないという場合がしばしばあります。その場合には、住所の調査を行う必要があります。
しかしながら、一般の方が他人の住所を調べる方法はそれほど多くありません。例えば、共通の知人から教えてもらったり、探偵に調査してもらったりする方法が考えられますが、どうしても人づてでは調べられる範囲が限られてしまいますし、探偵の調査にも相応の費用がかかってしまいます。 ではやはり請求はできないのか。そうとは限りません。
弁護士に委任した場合には、弁護士の権限として、「職務上請求」や「弁護士会照会」(弁護士法23条の2に規定されているので「23条照会」と言うこともあります)という制度が使えるため、調査の手段を増やすことができます。これによって、相手の住所を特定できる可能性が高まり、請求に繋がります。ただし、これらの制度は委任を受けた事件の処理のために必要な範囲で利用できるものであり、「職務上請求」だけや「弁護士会照会」だけを依頼して身辺調査するということはできませんので、この点はご注意ください。

前の住所が分かっている場合には、戸籍の附票(住所の移転を記載した書類)や住民票を取得することで、その人の住所の変遷を調べることができます。一般に、これらを取得することができるのは、本人や親族に限られています。法律上は、権利を行使するために必要であれば交付の請求をすることができるとされているものの、実際にはあまり利用されていません。
しかし、弁護士等の一部の職種の者であれば、職務の遂行に必要な範囲で他人の戸籍や住民票を取得することが認められています。この制度が「職務上請求」です。弁護士はこの制度を使って、請求を行おうとする相手の戸籍の附票や住民票を取得し、住所をたどって現住所を特定することができます。
ただ、行方をくらました人の中には、役所に住所変更の届出を行わない人もいます。その場合、戸籍の附票にも住民票にも転出転入の記載がなされないため、これらを調べても現住所までたどり着くことができません。
そこで別の方法として、郵便局に届出をしている郵便物の転送先の住所を調べることが考えられます。役所で転出転入の届出をしなければ、公的サービスを受けられない等の不便を受けることになります。これに加えて郵便物の受け取りまでできないとなると、生活に大きな支障が出てしまいます。そのため、転出転入の届出はしなくても郵便物の転送の届出はしているという人もいます。弁護士は、弁護士会を通じて、日本郵便株式会社に対し、郵便物の転送先の照会を行うことができます。この照会が「弁護士会照会」を利用したものです。以前は、この照会があっても日本郵便は応じないスタンスでしたが、紆余曲折を経て、令和5年6月1日以降は、一部の例外を除いて転送先住所を教えるという運用になっています。これにより、郵便物の転送の届出がなされていれば、その転送先の住所も調べられることになりました。
このように、弁護士であれば、「職務上請求」や「弁護士会照会」を使って、前の住所から今の住所をたどることも可能です。

また、「弁護士会照会」が利用できる場面は、郵便物の転送先の照会に限りません。他の公務所や企業、団体に対して、必要な事項の報告を求めることができます。
そのため、相手の携帯電話番号が分かっていれば、携帯電話会社に照会を行って契約者の住所を調べることができます。銀行口座が分かっていれば、銀行に届け出ている住所やその口座の取引履歴について照会を行うこともできます。
したがって、相手について知っている情報から、住所を含む必要な情報を取得する手段になります。

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、住所も分からなくて連絡の取りようがないという方からのご相談も多数お受けして、「職務上請求」や「弁護士会照会」を駆使し、トラブルを解決しています。当事務所に一度ご相談ください。

最後に

金銭トラブルは多種多様なものがありますが、その多くは身近に起こります。しかし、いざトラブルが起こったときの対応は難しいことが多いです。
そもそも人にお金を貸すときは、その人が返してくれると信用して貸しているはずで、返してくれなかったときにどう請求してどう回収するかなど通常考えていません。詐欺被害の場合は、お金を渡すときに、自分が騙されていたらどうするかなど当然考えていません。そうすると、実際にトラブルが起こってから、対応を考えなければならないのです。
しかも、そのときには既に、自分だけの力ではどうしようもないことも多いです。相手が開き直って返さなければ無理やり奪うこともできません。行方不明で音信不通であれば、話をすることすらできません。
だからこそ、状況を踏まえて様々な対応策を検討することが大切です。

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、起きてしまった金銭トラブルについて、どう対応すべきかアドバイスをさせていただきます。またそのうえで、ご本人に代わって相手に交渉を行ったり、訴訟提起したりすることで、多数の金銭トラブルを解決しています。ぜひ当事務所に一度ご相談ください。

また、将来トラブルになることを可能な限り防ぐためには、借用書や契約書の作成が有効です。当事務所では、借用書等の書類の作成や内容のチェックなどのご相談も多数お受けしていますので、お気軽にご相談ください。

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