弁護士ブログ
2023/04/03
大麻取締法違反について
元アイドルグループやアーティストのメンバー等が、大麻取締法違反で逮捕されたというニュースを聞かれたことがあると思います。最近では、主婦や大学生、さらには、先日、高校生が大麻取締法違反で逮捕されたというニュースがありました。
大麻取締法違反とは、どのような犯罪なんのでしょうか。
1 大麻とは
大麻取締法違反における「大麻」とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」をいいます。
ただし、大麻草の熟成した茎及びその製品(樹脂を除く)、大麻草種子及びその製品は、規制対象から除かれます。(大麻取締法第1条)
2 大麻取締法違反とは
大麻取締法違反とは、大麻の所持、栽培、譲り受け・譲り渡し、輸出・輸入、研究や
医療、医薬品などへの利用等、大麻の取扱いや規制を定めた大麻取締法に違反する犯罪をいいます。
大麻取締法では、都道府県知事の免許を受けて、繊維や種子の採取する目的で大麻を栽培する者、また大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する者を「大麻取扱者」と定義し、大麻取扱者でない者は、大麻を所持し、栽培し、譲り受け・譲り渡し、又は研究のため使用してはならないとその行為を禁止されています。
また、「大麻取扱者」であっても、大麻を所持する目的以外での使用は禁止され、違法となります。(大麻取締役法第2条、第3条、第4条)
一般的に、大麻取締法違反事件の多くは、許可を受けていない者(「大麻取扱者」以外の者)が、大麻を所持したり、栽培したケースです。
今回、大麻の所持、大麻の譲渡、大麻の栽培について、ご説明します。
⑴ 大麻所持の罪
大麻所持の罪は、「大麻取扱者」でない者が、大麻をみだりに所持していたことで成立します。(大麻取締法違反第3条第1項)
大麻の所持とは、直接手に持っているだけではなく、自宅や車に保管していたり、知人に預けている場合も所持に含まれます。
また、大麻所持の罪が成立するためには、所持しているだけでなく、大麻取締法違反の行為をする認識(故意)も必要となります。
例えば、「自分が知らない間に、車やバッグの中に何者かにより入れられていた」場合は、故意がないことから、大麻取締法違反は成立しません。
罰則は、単純所持の場合は5年以下懲役、営利目的で所持していた場合は7年以下の懲役となっていますが、情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金となります。(大麻取締法違反第24条の2第1項、第2項、第3項)
これらの罪は、未遂であって処罰され、また国外犯も処罰されます。
⑵ 大麻譲渡の罪
大麻をみだりに他人に譲渡し、または他人から大麻を譲り受けた者は、5年以下の懲役となっています。また、営利目的で大麻をみだりに他人に譲渡し、または他人から譲り受けた場合は7年以下の懲役、または情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金となります。
また、所持罪と同様に、未遂も処罰され、また国外犯も処罰されます。
(大麻取締法違反第24条の2第1項、第2項、第3項)
⑶ 大麻栽培の罪
先に述べた、「大麻取扱者」以外の者は、大麻を栽培することはできません。(大麻取締法第3条第1項)
大麻をみだりに栽培した者は7年以下の懲役となり、営利目的で栽培した場合は10年以下の懲役、または情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金となります。
また、未遂も処罰されますし、国外犯も処罰されます。
さらに、予備罪も処罰の対処となっています。大麻の予備罪とは、大麻を栽培する目的で大麻の種子を購入する行為等が予備罪に当たります。
予備罪の罰則は、3年以下の懲役となっています。
(大麻取締法違反第24条第1項、第2項、第3項、同第24条の4)
3 「大麻の使用」は処罰されない ?
大麻取締法違反では、大麻の使用は一般的に禁止行為の対象とされていません。
その理由としては、「大麻草全体が規制対象となっていない」からです。
大麻草に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分は、服用すると脳に作用して大麻特有の妄想・幻覚・記憶障害・学習能力低下などを引き起こす危険なものとされており、規制対象の葉や花穂だけでなく、規制対象外の成熟した茎・種子にも微量のTHC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれているためです。
尿検査などで微量の大麻成分が検出されても、それが規制対象である大麻の花や葉っぱを摂取したものか、規制対象外の成熟した茎・種子を使用した香辛料などを摂取したものか判別できないからです。
なお、近年、大麻の使用が深刻化していることから、厚生労働省は大麻の使用についても規制対象とすることを検討しています。
大麻取締法違反で逮捕されると、高い確率で長期間勾留される可能性があります。
ご家族の方が、大麻取締法違反で逮捕された場合は、なるべく早く、弁護士にご相談ください。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスでは、大麻取締法違反事件を多数取り扱ったことのある刑事事件に経験豊富な弁護士が対応し、迅速に弁護活動を開始します。
一人で悩まず、新たな一歩をわたしたちと!
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