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2023/08/22

離婚時のマイホーム問題

 夫婦が離婚する際、財産分与や養育費などの問題がありますが、特にマイホームのことで悩まれている方が多くおられます。
 マイホームの名義には、家の所有名義と住宅ローン名義があります。

特に、購入したマイホームのローン残高で、「住宅ローンが残っているが誰が払うのか」、「離婚してもマイホームに住み続けられるのか」、「共同名義になっているがどうしたらよいか」などといったマイホームに関する相談を多くお受けしています。
離婚の際のマイホームの対処方法について、ご説明します。

1 マイホームを売却する場合
離婚する際、購入したマイホームをどうするかが大きな問題です。
マイホームのローンが残っていない場合は、マイホームは売却し、そのお金を財産分与として、夫婦で分け合うことができます。しかし、マイホームのローンが残っている場合は、マイホームの査定金額とローン残高が問題となります。
 
 〇 オーバーローンの場合
    オーバーローンとは、住宅の査定金額よりローン残高の方が上回っている場合です。この場合、夫婦の片方が住み続けてローンを支払って行くのが一般的です。どうしても売却せざるを得ない場合は、残ったローンの支払いをどうするか、検討の必要があります。

住宅ローンを一括返済する場合は、まとまった資金が必要となります。資金がない場合は、一括返済が難しくなりますので、預貯金等や両親等の援助を受けることも必要かもしれません。残ったローンを一括返済できない場合は、不動産には「抵当権」という担保が付いているので、金融機関等の債権者の承諾を得ないと不動産を売却することはできません。「任意売却」と言って、金融機関等の債権者の許可を得て、住宅を売却する方法もあります。「任意売却」でも、残債務の支払い義務は逃れられませんので、注意が必要です。

〇 アンダーローンの場合
   アンダーローンとは、住宅の査定金額よりローン残高が少ない場合です。ローン残高の方が少ないことから、マイホームを売却することでローンの全額返済も可能となり、もし残ったお金があれば、そのお金を夫婦で分け合うことができます。もし、住宅を売却しないのであれば、住宅ローンの名義を誰にして、誰がローンを支払っていくのか、住宅の所有名義を誰にするか、等多くの問題が発生します。

離婚で家を売却することが決定している場合は、家がいくらで売れるのか、数社の不動産会社に査定を依頼してみてください。

2 マイホームに住み続ける場合
離婚後、マイホームに住宅ローンの名義人が住み続ける場合と住宅ローンの名義人以外の者が住み続ける場合があります。

⑴ 住宅の名義人が住み続ける場合
 マイホームを購入した時にローンを組んだ名義人がそのまま住宅に住み続ける場合は、住宅ローンの返済義務はローンを組んだ名義人にあることから、そのままローンを支払い続けることで、問題ないと思われます。しかし、離婚して家を出た配偶者が「連帯保証人」や「連帯債務者」となっている場合は、注意が必要です。

〇 住宅ローンが残っていない場合
 住宅ローンが残っていない場合は、住宅を売却しなくても、財産分与として、その住宅の査定金額の半分を相手に支払うこととで、住宅の名義人が住み続けることができます。

  〇 住宅ローンが残っている場合 
 住宅ローンが残っているが、住宅の査定金額がローン残高より大きい場合は、プラスの財産として財産分与の対象となり、住宅を売却しなくても、住宅の査定金額からローン残高を差し引いた金額の
半分を相手に支払うこととなります。さらに、住宅を購入の際、配偶者の個人財産を頭金等として、一部支払っている場合は、それも財産分与として考慮される場合もあります。 

〇 家を出た配偶者が「連帯保証人」や「連帯債務者」になっている場合
 例えば、夫がローンの名義人で、家を出た妻が連帯保証人や連帯債務者となっている場合は、夫婦間で夫が支払うとの合意があっても、妻には金融機関への債権の責任は免れません。基本的に、連帯保証人などから外れることは難しいです。もし、元夫が住宅ローンの支払いを滞納した場合、家を出ている元妻が住宅ローンの支払いをしなくてはならなくなります。離婚の話し合いの時、連帯保証などについて、家を出た妻の不利益にならないように元夫が住宅ローンを滞納した場合の対応を明確にしたうえで、公正証書としておくことも、予防策の一つです。

⑵ 住宅の名義人以外の者が住み続ける場合
 マイホームを購入した時の家の名義人であり、かつ住宅ローンを組んだ名義人が家を出て、名義人以外の配偶者などがそのまま住宅に住み続ける場合は、色々な問題があります。例えば、住宅の名義人で、かつ住宅ローンの名義人の夫が家を出て、妻と子供がそのまま住宅に住み続ける場合として、お話しします。 
 
〇 住宅ローンが残っていない場合
 住宅ローンが残っていない場合は、住宅を売却しないで、妻と子供が住み続けることもできます。そういった場合は、財産分与や養育費などに影響することがありますので、離婚前に相手とよく話し合う必要があります。また、妻と子供が家に住み続け、妻が家を取得する場合は、家の名義を夫のままにしておくと、夫の財産として扱われることになりますので、名義変更が必要となります。

〇 住宅ローンが残っている場合 
 住宅ローンが残っている場合は、住宅の査定金額とローン残高が問題となります。

□ アンダーローンの場合
住宅の査定金額よりローン残高が少ない場合は、プラスの財産となりますので、財産分与の対象となります。
妻が住宅を取得し住み続けるならば、妻から夫へ財産分与の支払いが必要となりますが、
他の財産分与や養育費等が関係してくることから、離婚前に相手とよく話し合う必要があります。

□ オーバーローンの場合
住宅の査定金額よりローン残高の方が上回っている場合、基本的に住宅に住み続けるのならば、住宅ローンの名義人が離婚後もローン返済を続けなければなりません。住宅ローンの名義人以外の者(妻と子供)が住み続けるなら、ローンの名義変更と借り換えが必要となります。

住宅ローンの借り換えには、現在、借りている金融機関とは違う金融機関で、新たに借りることになります。このとき、夫あるいは妻のどちらかの単独名義にすることになりますが、金融機関の審査を通過しなければならず、名義人となる方の収入や返済能力によっては、ローンを組むのが難しくなる場合もありますので、金融機関に相談してください。 専業主婦など定期収入がない場合には、借り換えは難しいと考えられます。

また、住宅ローンの名義変更や借り換えをせず、ローンの名義人以外の者(妻と子供)が住み続けるのは、トラブルの原因となります。例えば、住宅の名義人の夫が勝手に住宅を売却したり、金融機関から一括返済を求められる可能性もあります。

3 共同名義となっている場合
  最近では、夫婦が共働きをしていることから、マイホームも共同名義としている夫婦が増加しています。離婚に伴い、住宅の所有名義だけを夫又は妻の単独名義に変更する場合は、
金融機関の承諾が得られれば、名義変更は可能です。しかし、住宅ローンが夫婦共同名義となっている場合は、夫婦で「連帯債務」・「連帯保証」となっている場合があり、たとえ離婚したとしても、ローンを返済し続ける必要があります。もしも、離婚した後、元夫あるいは元妻の返済が滞ったとしたら、どちらかに債務が集中するかもしれません。そのため、離婚することになれば、住宅ローンの共同名義を解消する必要があります。住宅ローンの共同名義を解消する方法としては、「住宅ローンの借り換え」、「一括返済」、「家の売却」などが考えられます。

 離婚前に、マイホームの問題について、配偶者としっかり話し合いを行い、取り決めてお
くことが必要です。
また、口頭だけで合意していても、後で守られないこともありますので、合意内容を公正証書にまとめておくことも必要かもしれません。

 離婚に際して、マイホーム問題や財産分与、親権、養育費等について、後悔しないためにも、弁護士にご相談されることをお勧めします。
 当弁護士法人山本・坪井綜合法律福岡オフィスは、離婚や刑事事件をメインとした法律事務所で、相談件数や解決事案も多数あり、経験豊富な弁護士が在籍しております。離婚問題等でお悩みの方は、まず、当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスにご連絡してください。 
    

  

 

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