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2023/10/26

公務員の離婚のポイント

 公務員といっても、国家公務員の職員や地方公務員の職員、警察官、消防士、教職員等さまざまな職種があります。

 夫婦の一方又は双方が公務員である場合の離婚問題については、社会的信用を失うのではないかと離婚に慎重になったり、不倫等が理由の場合は何らかの処分を受けるのではないかと離婚に躊躇する方が多くおられます。

 こうした離婚に関する問題は必ずしも公務員特有のものではありませんが、公務員は経済的に安定しており、退職金制度も整っていることから、離婚時の住宅ローンや退職金の財産分与や年金分割の問題が重要なポイントとなります。

 公務員が離婚する場合のポイントについて、お話しします。

1  財産分与について
 夫婦が離婚する際、夫婦で築き上げた財産を分け合うために財産分与を行います。
 財産分与の対象は、夫婦の共有財産であり、具体的には、預貯金や株券等の有価証券、生命保険、現金、家などの不動産及び車などの動産などがあります。
 公務員の場合は、共済組合の貯金や退職金も財産分与の対象となります。
 財産分与をするときには、夫婦の共有財産をお互いに開示することが必要です。
 
□ 共済組合の貯金
 公務員の多くの方は、公務員だけが利用できる共済組合の貯金(共済貯金)を利用されます。
 共済貯金は、利率がよいので、長年勤務していると貯金の額も大きくなっています。
 離婚に際して、ゆうちょ銀行やその他の銀行などの預貯金額は調査しますが、共済貯金は見逃しがちです。
 もし、相手方が共済貯金の額を開示しない場合は、共済組合に照会して、共済貯金の有無、貯金額等を調べる必要があります。

□ 退職金
 公務員は退職金制度が整っていますので、退職金も財産分与の対象となることがあります。
 しかし、公務員の退職金が財産分与の対象となるためには、
 ① 近いうちに退職する予定があること
 ② 退職金が支給される蓋然性が高いこと
が要件であり、また実質的な結婚期間(同居期間)に相当する部分に限られます。  
 一般の会社でも退職金制度のある会社もありますが、公務員の場合は、懲戒免職の処分を受けない限り、退職金が支給される蓋然性が高く、その金額も国や地方自治体によって勤続年数ごとの計算方法が明らかにされています。
 公務員の退職金額を調べるには、所属する省庁や地方自治体に問い合わせすれば、確認できます。

□ 住宅ローン
 公務員は経済的に安定していることから、住宅ローン付きで家を購入している方が多いいと思われます。
 離婚に際して問題となるのが、住宅の名義人と住宅ローンの残高です。
 双方公務員の方は、購入した住宅の名義を共同所有とし、ペアローンを組まれている方も少なくありません。
 ペアローンを組まれている方は、夫婦お互いが相手の住宅ローンの連帯保証人となっていますので、離婚の場合、注意が必要です。
 また、離婚に際して、所有する住宅の価値が、アンダーローン(資産価値がプラス)なのか、オーバーローン(資産価値がマイナス)なのかにより、財産分与の方法が異なってきます。
 一般的には、所有する住宅のローンが残っている場合は、売却してローンの返済に充当するか、売却せずローンを支払いながら、離婚後もどちらかが住み続けることが考えられます。
 住宅を売却した場合、アンダーローンであれば、残ったお金を夫婦で公平に分けることができますが、オーバーローンであれば、残った住宅ローンは借金となり、公平に負担することとなります。
 しかし、離婚後もどちらかが住み続ける場合に、ローンの名義人が住み続ける場合は問題ないかと思われますが、ローン名義人でない方が住み続ける場合には、ローン名義人がローン返済を滞ると、金融機関から住宅を差し押さえられ、退去しなくてはならなくなることがありますので、注意が必要です。
 離婚前に、住宅の名義変更や住宅ローンの借り換え等を協議し合意することが重要となります。

2  年金分割について
 公務員は、一般の会社員と同様に、厚生年金保険制度に加入していることから、将来年金を受給することになりますので、公務員と離婚する場合にも「年金分割」の適用を受けます。
 離婚の時に、年金分割の手続きをしておくと、将来年金を受け取る年齢になった時、自動的に年金の受給額が調整されます。
 年金分割の手続きをする時は、「年金分割情報通知書」を入手する必要がありますが、公務員の場合は、一般の会社員が異なり、年金事務所ではなく、共済組合に申請をしなくてはなりませんので、注意が必要です。

3  養育費
 公務員の場合も、養育費は一般の会社員等と同じように、双方の年収や子どもの年齢、人数、その他の事情を考慮して、算定されます。
 公務員と離婚する場合は、離婚の前にきちんと養育費の取り決めをして、できれば、公正証書や調停調書等を作成しておけば、確実に養育費を支払ってもらえるでしょう。
 もし、養育費が滞納されるようになった場合は、給与を差し押さえることにより、容易に回収できます。

 公務員と離婚する場合は、一般の会社員と異なり、注意する点がたくさんあります。
不利にならないようにするためにも、適切な対処方法について弁護士にご相談されることをお勧めします。
 当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスの弁護士は、数多くの離婚問題を扱ってきた経験験豊な弁護士が、ご相談をお受けいたします。
 公務員の方やその配偶者の方で、離婚問題でお悩みの際は、まず弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所福岡オフィスまで、お気軽にご相談ください。
一人で悩まず、新たな一歩をわたしたちと!

        
 

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